ALCパネル外壁のクリニック医院様、雨漏りの現地調査ご依頼です。兵庫県明石市
築10年ほどの、クリニック医院様。小雨程度では、なんともないそうですが、吹降りの強い雨の時に、診療室の床がびっしょり濡れる程の雨漏りがあるとの事です。3階建ての建物で診療室は1階ですから、先ずは外壁からの雨漏りを疑って、ALCパネル製の外壁から調査します。
ALC=軽量気泡コンクリートパネルは、外観は似ていますが、普通のコンクリートとは全く違うものです。
ALCパネルは、気泡が入っているため軽量(水に浮きます)で施工性が良く、空気の気泡で断熱性に優れ、夏は涼しく冬は暖かい特徴を持っています。更に、工業化製品としてJISの規格を取っていて、品質が安定しているので、これまで多くの建物につかわれてきました。
しかし、弱点もあります。
ALCパネルそのものは水を吸い込みます。つまり、吸水性があると言うことです。ALCパネルを外壁材として使う際には、必ず防水処理が必要となります。
そして経年劣化と共に、雨漏りのリスクが非常に高くなります。
ALCパネルからの雨漏りの原因は、
1.ALCパネルのシーリングが劣化している。
2.ALCパネル本体にクラックが発生している。
3.ALCパネル本体の塗装が防水機能を失っている。
4.ALCパネル本体が割れている。
などが考えられます。
この点を踏まえて、調査点検していきます。
ALCパネル本体に大きなクラックがありました。1㎜以上のクラックは構造クラックと言って、雨水が外壁の内部にまで浸入し、雨漏りの原因となります。
クラックスケールをあててみると、
0.85㎜あります。まず、雨漏りの原因の一つはこれが疑われます。
更に調査を続けて行くと、ALCパネル本体に割れを発見しました。
外壁表面が割れて、ALCパネル本体がむき出しになっています。ALCパネル本体の気泡が外気にさらされています。ALCパネルはスポンジのように水を吸い込みます。ここに雨があたって、外壁内部へと雨水が浸入し、雨漏りとなります。
また、ALCパネルのシーリングが劣化してクラックが発生しています。
ALCパネルのシーリングは幅60㎝のピッチで、縦は長さ分のピッチでALCパネルの外周全てに打ってあります。表面の防水材が劣化するのと同時にシーリングも劣化し、クラックが入ってきます。そして、このクラックから雨水が浸入してきます。
雨水が浸入すると、ALCパネル内部の鉄筋が錆びます。鉄は錆びると体積が膨張しますので、水が凍って土を押し上げる霜柱のように、パネル本体が押し出されて爆烈し、大きな損傷を引き起こす事になります。
ALCパネルのメンテナンスは、ALCパネルの特徴を十分に理解している施工業者を選ぶことがとても重要になります。